肩(腕)の急な腫れと熱感と激痛【肩関節石灰沈着性腱炎】

肩(腕)の急な腫れと熱感と激痛【肩関節石灰沈着性腱炎】

何もしていないのに、急に肩に激痛がきてじっとしていてもズキズキうずく(安静時痛)、夜も痛くて眠れない(夜間痛)、患部が赤く腫れて熱を持っている(発赤・熱感)、痛みで肩(腕)が上がらない・動かせない(運動痛)といった症状は石灰沈着性腱炎(石灰沈着性関節炎)かもしれません。

石灰沈着性腱炎とは

石灰沈着性腱炎とは、石灰(カルシウム)が腱(関節を動かすスジ)に沈着(溜まって)炎症を起こした状態です。

病名は“腱炎”ですが実際は腱だけでなく、滑液包・関節包・腱鞘滑膜など関節近くにある軟部組織に発症しますので、肩に限らず、手首(手関節)・足首(足関節)・肘や股関節などどこにでも起こりえます。

なぜ石灰(カルシウム)が腱に溜まるのか

人間の骨も、皮膚なんかと同じように古いものと新しいものが少しづつ入れ替わる“代謝”を行っています。

骨の代謝で、古い骨はカルシウムとして血中に出て尿として身体の外に排出されますが、その過程で腱や滑液包・関節包・腱鞘滑膜などに少しづつ付着します。

付着したカルシウムの塊を身体が異物と認識したとき、その石灰を排除しようと炎症反応を起こします。

これが何の前触れもなく急激に起こる激痛の正体です。

 

カルシウム代謝は女性ホルモンの分泌が減る30代をピークに乱れ、血中のカルシウムが多くなります。

ですので30~40代以降の女性に多く見られるのも特徴です。

肩関節石灰沈着性腱炎の外観

肩関節石灰沈着性腱炎の外観写真です。

腫れは写真だと分かりにくいんですが、関節内の石灰沈着のため肩の前の方から後ろの方まで関節包全体に水(関節水腫)が溜まっています。

腫れている部分を赤丸で囲みました。

 

この方は土曜日の晩に急に痛くなられて、病院が開いてない時間なので鍼治療をさせていただき、後日整形外科を紹介しました。

肩関節後方(棘下筋腱)に発症した石灰沈着性腱炎

左の肩関節の後方に発症した石灰沈着性腱炎です。

赤で囲んだ部分が赤く腫れているのがわかると思います。

右は、肩の横の方にシワがありますが、左は腫れのため皮膚が中から押し広げられてシワがなくなっています。

この、発赤・熱感・腫脹は炎症症状を表す大事な徴候です。

石灰沈着性腱炎の治療

アスイクでは鍼灸治療、特に鍼治療の鎮痛作用と防衛作用を狙って局所に鍼治療を行い痛みを緩和し、石灰の吸収を促します。

 

鎮痛作用:「はり」で刺激することにより、もともと生体に備わっている内因性鎮痛機構(痛みに対する免疫?)を賦活させる。

防衛作用:白血球や大貪食細胞などを増加させ、治癒機能を促進、生体の防衛能力を高める。

 

その他の鍼灸の作用はこちら

※アスイクにはエコー等はありませんので画像診断は出来ません。

 石灰沈着性腱炎は問診や症状などから、予測します。

 また石灰沈着性腱炎は多くの場合、1回のステロイド注射で大幅に症状が緩和・消失します。

 ですので、確定診断と治療を兼ねてすぐ行けるようなら整形外科の方を紹介させていただくこともあります。

肩関節石灰沈着性腱炎のレントゲン

右肩のレントゲンです。

 

上の骨が、鎖骨と鎖骨の延長にあり体表からも触れる肩の関節の真上にあたる肩峰です。

 

下の骨が腕の骨上腕骨です。

 

赤い矢印が石灰です。

 

関節の間に出来てるのがわかります。

 

ちなみに、石灰は骨と同じ成分のカルシウムなのでレントゲンに写ります。

石灰沈着は治療をすれば通常、数日から数週間で消失します。

石灰沈着性腱炎のレントゲンは石灰が大きく分かりやすいものを例として出してます。

場合によっては石灰がすごく小さかったり、骨とかぶって非常に見えにくい場合もあります。

また石灰沈着性腱炎は何度も発症したり場所を変えて発症する場合もあります。

 

肩に限らず上記の症状で当てはまるものがあれば我慢せず早めの相談・受診をおすすめします。